「TOEIC亡国論」。なかなか挑戦的なタイトルがゆえに、いつか読もう読もうと思ってそろそろ一年が経過してしまいそうになったので昨日読破しました。
TOEIC批判のオンパレードと思いきや、そんなこともありませんでした。タイトルは出版元が決めたのでしょうね。
目次
タイトルに騙されないで
冒頭にも書きましたが、タイトルがちょっと偏りすぎな感が否めません。というのも筆者はいたって中立的にTOEICの良い点、悪い点を淡々と分析して解説しています。
タイトルだけ見るとTOEIC批判オンリーにとらえられかねないので損をしているのではないかなとも思えてしまいます。出版業界が低迷しているため、売るためには過激なタイトルで煽ることも必要なのかもしれませんね。
本題:TOEICだけではダメだよということ
全くの無知識の人からすれば「TOEICでハイスコア」=「英語ペラペラ」という幻想に憑りつかれている人も少なくはないと思います。
事前にネットなどでTOEICの歴史や効果を学んだ人であれば、TOEICはあくまでも基礎的な英語力を測る試験、リスニングとリーディングのみの試験なのでアウトプットであるスピーキングとライティングの技能は測れない。
そんなくらいのことは頭に入っているのではないでしょうか。
筆者が述べているところはまさにこの部分です。
私も当ブログで何度となく主張していますが、TOEICができただけでは英語を話せることはできませんし、ネイティブオンリーの世界でやっていける自信なぞ到底ありません。
まだまだ日本の企業の上層部や人事部には英語ができる人がおらず、「採用する側」からすれば「志望者」の英語力を測る術を持っていません。
外資系でバリバリの英語を使ってビジネスをする世界であれば、英文履歴書や英語面接があるため、英語力はいわずもがな実力で判断されます。
では日本の企業ではどうでしょう。グローバル化してる昨今、英語英語と話題には出てくるものの大量の志望者の面接や昇進試験において、いちいち一人ずつ英語力を測る時間もヒマもありません。
そうなると機械的に大量に処理できるTOEIC試験が一番手っ取り早いという結論になります。
英語に限らず語学は、話す、聞く、読む、書くの4つのスキルが必要です。これが昨今話題になっている4技能と呼ばれるものですね。
TOEIC LRテストではそのうち、聞くと読むの2技能しか試されない試験なので英語の総合力を試す試験としては不適格と言わざるを得ません。
しかし、ある程度の物差しにはなっており、700点超の力があれば英語を使える(これから学ぶことができるだろう)とみなされる傾向があります。
お隣の国、韓国ではLRテストだけではなく、SW(スピーキングとライティング)の試験も重要視されるようになってきています。
その結果、韓国人の英語力の発展と世界での活躍がめざましいものとなってきていますね。
日本ではまだSWを受験する慣習がそこまでないことと、テストセンターを使用する&受験料が高いということもありまだまだ定着するには時間がかかるでしょう。
TOEIC LRのみに偏重した英語力判定方法はよろしく無いよということを筆者は繰り返し述べています。
英語学習の本質から学ぼう
TOEIC亡国論というタイトルではありますが、英語力全体の上げ方についてもしっかりと述べられています。
これも当ブログで紹介している通り、
- 語彙力の増強
- 文法力の強化
- 勉強時間の確保
の3点が主に重要な要素として取り上げられています。
言葉には文法というルールがあり、そのルールにしたがって英単語をつなぎ合わせていく。言語間のルールの違いはあるにせよ、英語も日本語もこの点は同じことです。
最近では文法軽視の授業形態にシフトしているということを聞いたりもしますが、それは骨組みなしに家を建てるようなものです。
文法でルールをしっかり学び、後は必要な単語を大量に蓄積していく。
それにはやはり一朝一夕では習得できるなどといううまい話しはなく、大量の時間を消費することを肝に銘じとかなければいけません。
いくらTOEICの勉強をしたとしても、それはTOEICのスコアだけが上がるだけ。実務で英語を使えるようにしたければ、やはりインプットだけでなくアウトプットにももっと力を入れるべき、そう筆者は主張しています。
TOEICだけの勉強をしていても、テーマが日常・ビジネスシーンのみなのでやはり退屈してしまうのは事実です。
せっかくの語学の勉強をするのであれば、英語だけでしか身につけることができないもっと有益な情報で勉強することが一番の上達の早道かもしれませんね。
まとめ
TOEICばかりやっていて少しエンジンが切れかけていた自分にとっては非常に読み応えのある一冊でした。
TOEICだけに視界を奪われて盲目的に勉強してしまうことは一番よくありません。
TOEICがどういう試験なのか、何を求められているのかをしっかりと見極めたうえで、あくまでも英語力強化の補助輪的な位置づけとして活用するのが良いのだということを再認識しました。